
「見て学ぶ」探求心が技になる。アネシスの現場を支える若き職人の歩み【工事課 社員大工 甲斐陽向】
「AneMag」がお届けする企画『Ane-Baton(アネバトン)』。 アネシスを形作るメンバーが、仕事への想いやパーソナルな素顔を語るインタビューです。
今回は社員大工として活躍する甲斐 陽向さんです。大工をめざしたきっかけや印象的なエピソード、そしてご自身のことについてインタビューしました。

甲斐 陽向(Kai Hinata)
株式会社アネシス 建築部工事課
高専卒業後、同社入社。研修後、社員大工として工務部工務課に配属。共栄会(アネシス協力大工会)の棟梁の弟子として数多くの現場を経験。26年2月より、棟梁のもとを離れ社員大工として独り立ち。
——はじめに現在の仕事内容を教えてください。
甲斐 基礎工事後のお家を建てるところから壁紙の下地が終わるまでの工事を主に行います。そのなかで棚を造ったり、ドアを付けたりする造作工事を行いながら、お家全体を造っていくという仕事です。戸建てが完成するまでの3~4ヶ月のうち、私が携わるのは平均すると約2ヶ月間です。この期間は、(上棟を除く)ほぼすべての大工工事をひとりで行っています。
——甲斐さんが大工を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
甲斐 父が建築関係の会社に勤めていたこともあり、幼いころから大工になるが夢でした。就職を考えたときに、大工工事をしたいと思いました。そして社員大工を採用しているアネシスのことを知り、大工職として入社しましたね。
——社員大工として配属後、業務と並行して大工学校に3年間通っていたと思います。実際の建築現場で学べることと、どんな違いがありましたか?
甲斐 最近の住宅はプレカット(工場生産)が多いのですが、今の現場では、なかなか学べない部分を勉強することができました。例えば「手刻み」など伝統的な技術の面です。私はアネシス以外の現場に行くこともあるのですが、その場で木材の加工を依頼されることもあります。大工学校で昔ながらの知識を学んだことで対応することができました。
そのほかに基礎的な「ノミ研ぎ」など、道具の手入れの仕方なども学びました。
※手刻みとは、職人がノミやノコギリ、カンナなどの道具を使い、木材(柱や梁など)に直接印(墨付け)をして手作業で加工する伝統的な技術のこと。
——2026年2月に社員大工として独り立ちされました。
甲斐 元々は去年(2025年)に独り立ちする予定でしたが、会社の規定や現場のタイミング、親方が担当する大型物件のサポートなどが重なり、今年(2026年)になりました。ただ、3年目の終わりから4年目の初めにかけて、親方と隣り合わせで2棟の現場に入り、そのうちの1棟をほぼ自分1人で任せてもらったんです。自信をある程度つけた状態で今回独り立ちすることができたと感じています。

——印象的な家やお客様とのエピソードを教えてください。
甲斐 やっぱり「ホームパーティ」の家は印象深いですね。一般的な住宅だと壁紙やフローリングが多いのですが、ホームパーティの家は壁にベニヤ板を貼るなど特殊な作業が多く、すごく頭を使います。「あとで板を貼るからここに下地が必要だな」「この納まりはどう収めようか」と考えたり、作業の順番や材料を入れるタイミングまで計算が必要です。早めに材料を現場に入れて工事していても、木が曲がりすぎてしまうので、材料の使い方や綺麗に見せるための割付けなど、いっぱい考えたのはブランドです。
お施主様とたくさんお会いできたのは「アーキハウス」の現場です。私が担当する現場によく足を運んでくださるのですが、お越しいただいた際はできる限りしっかりご案内するようにしています。何か体験していただける作業タイミングの時は、実際に体験してもらうよう心がけていますね。これからもお施主様とのコミュニケーションを大切にしたいので、気になることや気づいた点があれば、どんな細かいことでも教えていただけると嬉しいです!
——甲斐さんにとっての『大工のやりがい』を教えてください。
甲斐 一番最初にやりがいを感じたのは「棟上げ」です。床下地しかない状態から、たった1日で屋根まで一気に建ち上がり、お施主様からの「1日でこれだけのことをやるなんてすごい!」と驚きの声が印象に残っています。
また、家の中の工事が進む中で、壁のボードや床、棚などの細かいところも妥協せずに綺麗に仕上げていく作業にも楽しさを感じています。
特にやりがいを感じるのは『大工の勘』が身についていく感覚ですね。目測でだいたいの距離が分かったり。「この木の曲がりなら、この向きで合わせたらピッタリ納まるはず」という感覚的な部分が、正しく見極められるようになってきました。「こうしておいた方が後々いいだろうな」と自分で判断した通りにうまくいった瞬間は、心の中で「キタッ!」って嬉しくなりますね(笑)。
——この『大工の勘』はいつごろから身に着いたのでしょうか。
甲斐 3年目くらいです。やっぱり1年目のときは、目の前の仕事でいっぱいいっぱいで全然できませんでした。ただ早く独り立ちしたいという思いはあったので、親方の仕事の方法や、工事現場がどのように進んでいるかを意識していました。すると2年目から少しづつ身についてきたように感じます。3年目に入ると、親方に頼るばかりではなく、工事の段取りを任せてもらう機会も増え、大工に必要な能力や大工の勘が養われ、身についたと思います。
工事作業のことを親方に聞くことはもちろんありますが、その前に親方の作業を盗み見て、調べ、学ぶことを心がけていましたね。学生のことから探求心はある性格でしたので、自ずと「見て、学ぶ」ことが身についているのかもしれません。やっぱり自分から学ぶ姿勢がないと絶対に上達しないと思っています。

——休日はどのように過ごされますか?
甲斐 知り合いのカフェに行って、常連さんと会話することが多いです。
旅行も好きで、あまり計画を立てずに行き当たりばったりの旅を楽しんでいます。旅先でふらっと入った飲食店で、近くに座っているお客さんとコミュニケーションをとって仲良くなることもよくあります。宿にもこだわりがあって、建物の一棟借りやアパートの一室を借りるスタイルが好きです。最近は一般的なホテルだと少し物足りなくなってきたのと、職業柄やっぱり間取りや建築が気になるんですよね。
以前、京都旅行をした時も古民家を借りたのですが、「こういう造りなんだな」とか「ここは階段が急でちょっと怖いな(笑)」なんて、構造や仕上がりを観察するのが密かな楽しみになっています。
そのほかだと、音楽を聴くことです。特にロックバンドが好きですね。夏は野外の夏フェスに行ったりします。先ほど言った京都旅行もフェスに参加してきました!今年は、あと数回は九州と関西のフェスに行く予定です。
——最後に今後の意気込みを教えてください。
目標は親しみやすく、いろんな人に頼られる大工になることです。
理想の大工像に近づくには、技術と知識が必要で、なおかつ話しやすいことや今までの経験が活かせることが大切だと思っています。
教育していくことにとても興味を持っているので、いろんな人に教える機会や、話す機会が今後も作れたらと思っています。
今回のインタビューで伝わってきたのは、甲斐さんの内に秘めた「好奇心」「向上心」「探求心」でした。親方から受け継ぐ確かな技術に加え、一人の人間として親しみやすくお客様に寄り添う姿勢。その真っ直ぐな想いこそが、これからのアネシスの家づくりを支える大きな力になるのだと感じました。
文・写真:松下 航也
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